日本料理の出汁


日本料理には「割烹」という言葉があります。
割烹の語源は「割主烹従」(かっしゅほうじゅう)と言うのですが、それはまたの機会に。

割烹の「割」は包丁で切ることを表し、
「烹」は煮炊きをはじめとする、火を使いこなすことを表しています。

水で煮物を炊いてもいいのですが、少し味気ない…。
野菜だけで炊く場合は特に物足りなく感じます。

そこで、今回は出汁の種類や引き方、利用方法などをご紹介します。

はじめに

スーパーや食料品店に行けば、即席出汁のもとや一回分のパックに分けられたものが市販されているので「今時、昆布とカツオ節から出汁を引くなんてなんだか面倒くさそう。」と思われるかもしれませんが、皆様が考えているほど難しいことではないんです。

ざっくり説明すると、昆布を入れた水を火にかけ、温まってきたら昆布を取り出しカツオ節を入れて漉せば完成です。

「これくらいなら私でもできそう」と思えてくるんじゃないでしょうか?

そう!簡単なんです!
簡単なのに難しそうなので、家族やご友人に「私が取った出汁なの」と言えば一目置かれること間違いなしです。笑

次は簡単な出汁を引くのに必要な物や手順を説明させていただきます。

出汁の引き方

必要な物
・鍋(一般的な柄のついた物で、容量は水が入る以上のもの)
・濡布巾
・ハサミ
・ザルもしくは漉し器
・あればリードペーパー(細かいカツオ節をキャッチできるので仕上がりが綺麗になります)
・ボール

・水1ℓ
・昆布10g
・カツオ節30g

まず最初に昆布についた埃やごみを固く絞った濡布巾で軽く拭き取ります。
昆布の表面についている白い粉は汚れではなく旨み成分なので洗い流したりしないでくださいね。)

次に、昆布の数箇所にハサミで切り込みを入れます。
(切り込みを入れることでより出汁が出やすくなりますが、ぬめりも出やすくなるので切りすぎには注意が必要です。)

そして、分量の水と切り込みを入れた昆布を鍋に入れて中火にかけます。
(丁寧に取る場合は1時間から3時間程分量の水に昆布を浸してから中火にかけます。)

鍋肌に小さい泡がつきはじめたら昆布を引き上げ、沸騰直前まで温度を上げて火を止めます。
アクが出ていたら取り除いてからカツオ節を入れて5分ほど置いたのち、リードペーパーを敷いたザルでボールに漉して完成です。

冷ましてから容器に移して冷蔵庫に入れてください。

出汁の種類

ここまで一番出汁の引き方をご紹介しましたが、実は他にも「出汁」はあるんです。
まず、一番出汁があると言うことは二番出汁もあるんです。

他にも、煮干しやサバ節の出汁。
鯛やフグ、ハモの骨を使った出汁。
鴨やすっぽんから取った出汁。
干し椎茸や大豆、かんぴょうを使った野菜から取った出汁など
いろいろな食材から出汁は取れます。

出汁って奥深いんです。
食材それぞれが持つ旨み成分を掛け合わせて、旨みの相乗効果を生み出し、料理に深みを加えることができます。

ここで一度は耳にしたことがあるかもしれない旨み成分を3つ紹介します。
グルタミン酸:主に昆布や野菜から取れる。
イノシン酸:主にカツオ節や煮干しから取れる。
グアニル酸:主に干し椎茸から取れる。

一種類だけだと単調で薄く感じても、二種類にした途端に味付けしなくても美味しく飲めるほどに変わります。

出汁の利用法

次はそれぞれの出汁の利用法について説明します。

一番出汁:お吸い物や漬ける用の八方だしなど、一番出汁の味や香りが生きる料理に使います。
二番出汁:お味噌汁やお惣菜風の焚き物に使います。
精進出汁:干し椎茸や大豆、干瓢などから取った出汁で動物性の食材を一切使わない料理に使います。
煮干し出汁:お味噌汁やめんつゆなどに使います。
その他の出汁:主に骨を使って取った出汁はその食材の料理に使います。
(鯛の出汁なら鯛茶漬け、ハモの出汁ならハモしゃぶ、すっぽん出汁ならすっぽんつみれの餡など。)

基本的に出汁はこのように使いますが、「出汁がら」が残りますよね?

「出汁だけ取って廃棄」なんて勿体無い!
昆布なら小さく切って柔らかく炊いて佃煮に、カツオ節は弱火で空炒りして味付けするとふりかけになります。
精進出汁の野菜がらも、煮干しも味付けして他の料理に使うと美味しいですよ。

まとめ

ここまでお付き合いくださりありがとうございます。

実はまだまだ紹介したいことはたくさんあるのですが、昆布の種類やカツオ節の仕上げ方など
今回はここまでにしておきます。

即席のものも便利だし美味しいですが、たまに一から出汁を引いてみるといつもと違った料理になって楽しめるかもしれませんよ。

最後に、今回の記事は私がいつも家でやってる出汁の引き方です。
他の料理している方や料理本と違っていると思いますが、どれが正解でどれが間違いなんてことは無いので、読者の皆様が「これが美味しい」と感じた方法で楽しく作ってくださいね。

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